急性扁桃炎

扁桃は喉の奥、口蓋垂(のどちんこ)の両側に位置するリンパ組織です。
医学的には口蓋扁桃(こうがいへんとう)と呼ばれ、鼻や口から侵入する細菌やウイルスに対する免疫防御の最前線として機能しています。
扁桃は生体防御の「関所」として、外部からの病原体をキャッチし、免疫反応を引き起こすことで身体を守っています。

急性扁桃炎は、この扁桃に細菌やウイルスが感染し、急性の炎症を起こした状態を指します。扁桃が腫れ上がり、表面に白い膿栓や膿が付着することもあります。
炎症が進行すると、扁桃だけでなく周囲の咽頭組織にも炎症が広がり、激しい痛みと全身症状を伴います。

扁桃炎は放置すると扁桃周囲膿瘍などの合併症を引き起こす可能性があるため、適切な医療機関での早期治療が極めて重要です。
豊島区椎名町の中島耳鼻咽喉科医院では、急性扁桃炎の早期診断と適切な治療に力を入れています。

急性扁桃炎の原因

❶細菌感染

最も一般的な原因菌は、A群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)です。
溶連菌による扁桃炎は特に小児や若年成人に多く見られます。
その他、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌なども原因となります。
細菌性扁桃炎は抗生物質による治療が必要で、適切に治療しないと腎炎やリウマチ熱などの合併症を引き起こすリスクがあります。

❷ウイルス感染

アデノウイルス、EBウイルス(エプスタイン・バーウイルス)、インフルエンザウイルス、コロナウイルスなどが原因となります。
ウイルス性の場合は抗生物質が効かないため、対症療法が中心となります。

急性扁桃炎を発症しやすくなる要因としては、疲労やストレス、睡眠不足、栄養バランスの乱れ、喫煙、過度の飲酒、季節の変わり目の気温変化などがあります。
これらの要因により免疫力が低下すると、通常なら排除できる病原体に対して抵抗力が弱まり、扁桃炎を発症しやすくなります。

急性扁桃炎の症状

急性扁桃炎の症状は突然発症し、急速に悪化することが特徴です。
患者さんが最初に訴える症状として最も多いのが、激しい咽頭痛です。この痛みは「ガラスの破片を飲み込むような痛み」と表現されるほど強烈で、唾液を飲み込むことさえ困難になります。

典型的な症状は以下の通りです。

  • 38~40℃の高熱
  • のどの痛み(咽頭痛) 
  • 飲み込みにくさ(嚥下困難)
  • 扁桃の腫れ
  • 頸部リンパ節の腫れ
  • 頭痛、関節痛、筋肉痛、食欲不振、倦怠感などの全身症状

急性扁桃炎の診断

口腔内と咽頭を直接観察し、扁桃の発赤・腫脹の程度、白苔や膿栓の有無、咽頭後壁の状態、口蓋垂の位置などを確認します。
当院では、必要に応じて内視鏡を使用し、上咽頭や喉頭の状態まで詳細に観察することで、炎症の広がりを正確に把握します。

触診では、頸部リンパ節の腫脹や圧痛を確認します。リンパ節の大きさ、硬さ、可動性などから、炎症の程度や合併症の有無を判断します。

症状に応じて、溶連菌の迅速検査や血液検査を行うこともあります。

急性扁桃炎の治療方法

溶連菌感染が確認された場合や細菌感染が強く疑われる場合は、ペニシリン系抗生物質を第一選択として使用しますが、感染の状態によっては複数の抗生物質から選択します。

さらに、当院では扁桃の膿栓除去や局所の消炎処置など、治りを早めるための処置を適切に行っています。

重要なのは、処方された抗生物質を医師の指示通りに最後まで服用することです。
症状が改善したからといって途中で服用を中止すると、細菌が完全に排除されず、耐性菌の発生や再発、合併症のリスクが高まります。

また、症状に応じて解熱鎮痛剤やうがい薬、トローチを処方します。

治療後の経過と注意点

適切な治療を開始すると、通常24〜48時間以内に症状の改善が見られます。
発熱は2〜3日で解熱し、咽頭痛も徐々に軽減します。しかし、抗生物質は症状が消失しても処方された期間は確実に服用を続けることが重要です。

治療後も1〜2週間は無理をせず、十分な休養を取ることが必要です。
激しい運動や過度の飲酒、喫煙は控え、バランスの良い食事と十分な睡眠を心がけてください。

急性扁桃炎は再発しやすい疾患です。年に4回以上繰り返す場合は「習慣性扁桃炎」と呼ばれ、手術の適応となることもあります。

喉の痛み、高熱、嚥下困難など、急性扁桃炎が疑われる症状がある方は、我慢せずに早めにご相談ください。

監修

中村耳鼻咽喉科医院 院長 北村

中村耳鼻咽喉科医院 院長

北村珠理