Bスポット治療

上咽頭とは

上咽頭とは、鼻とのどの間の空間のことで、別名鼻咽腔とも呼ばれています。
口を開けてすぐに見える部位ではなく、口蓋垂(のどちんこ)の裏かつ上方です。
この場所は、呼吸のたびに空気が通過する部分ため、空気中のゴミや細菌、ウイルスが付着しやすく、扁桃腺や舌根部と並んで生体防御の最初の砦、免疫の関所として働いています(ワルダイエル咽頭輪)。
同時に、その性質上、非常に炎症が起こりやすい場所でもあります。
耳鼻咽喉科では、内視鏡(ファイバースコープ)を用いることにより、上咽頭を直接観察し炎症の有無を確認することができます。
他科でのどの診察時「異常なし」と言われた方でも、耳鼻咽喉科で詳細に診察した結果、上咽頭炎や他の疾患がみつかることはよくあります。
のどや鼻の違和感が長引くときは、耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。

EAT(Bスポット療法)とは

上咽頭に塩化亜鉛という消炎作用のある薬液を直接塗る治療法が、Bスポット療法です。
この治療により、風邪のほかアレルギーからくる鼻、のどの急性炎症(アレルギー性鼻咽腔炎)が早く治癒したり、長年ののどの違和感や咳、鼻の症状が軽快するケースもあります。
Bスポット療法は耳鼻咽喉科特有の治療法です。
当院ではこの治療を先々代の時代、約70年前から積極的に行っております。
単純に薬液を塗るだけでなく、より効果的に上咽頭が消炎されるよう数々の工夫が受け継がれ、地域医療に貢献しています。

Bスポット療法の対象となる症状

  • 上咽頭炎
  • 後鼻漏
  • アレルギー性鼻咽腔炎
  • 長引く風邪症状
  • 耳管機能障害 
  • 耳管カタル(繰り返す耳の痛み、耳閉感)

アレルギー性鼻炎やアトピー、喘息など、アレルギー体質をお持ちの方で、朝起きた時の頭痛や鼻奥の痛み、嚥下時の違和感をたびたび繰り返す方は上咽頭に炎症がある可能性があります。
このように、のど自体に痛みがない場合も炎症がかくれていることがあるので、気になる症状がある方は一度ご相談下さい。

当院のBスポット療法について

内視鏡(ファイバースコープ)を用いて直接上咽頭を観察し、炎症の有無を確認します。
例えば、同じ後鼻漏の症状でも、上咽頭そのものが腫れ、粘液が染み出す上咽頭炎の場合と、副鼻腔炎など他の疾患により鼻水がのどにまわって落ちる場合とがあります。まずはきちんと病態を把握した上で、適応があると判断した場合にBスポット療法を行います。
症状の程度にもよりますが、週1~2回の治療頻度が目安となります。
軽い風邪症状であれば、まず数回処置を行い経過をみます。
そこで良くなれば終了することが多いですが、症状が重い場合や
経過が長い場合は数十回治療することもあります。
Bスポット療法は直接患部に薬を塗布するため、炎症の度合いが強いほど、しみて痛みを感じます。数十分~数時間痛みが続くこともありますが、そのあと症状が改善するため、頑張って治療を続けましょう。

Bスポット療法の注意点

炎症が強いと、痛みとともに出血する場合があります。
治療後、鼻血や血痰がでることもありますが、治療に伴う反応のため、心配はありません。
通常はしばらくするとおさまります。
炎症が改善してくると、少しずつ治療時の痛みや出血が減少していき、炎症がなくなると治療時の痛みはほぼなくなります。
改善には個人差があり、状態により内服薬やうがい薬、自宅での鼻洗浄などを組み合わせて行います。
Bスポット療法は主に上咽頭に対する治療であり、万病に効くわけではありません。
炎症が治癒したあとも、何らかの症状が遷延する方には、必要に応じて他科や連携する大学病院への紹介など、親身に対応いたします。